カネミツ EV向け製造加速 加西で新工場稼働
自動車部品メーカーのカネミツ(明石市)は、電気自動車(EV)の部品を製造する新工場を加西工場内に建設し、7月に稼働させた。同社はガソリン車に使われるプーリー(滑車)の最大手だが、自動車の電動化が急速に進む中で、EV向けの製造を加速させる。
昨年10月にEV部品の製造販売をする米澤工作所(姫路市)と共同で運営会社「キーネクスト」を設立。EV用モーターに使用する鉄芯部品を製造する。資本金は6千万円で50%をカネミツが出資。本社はカネミツ本社内に置いている。投資額は約3億円。
「当初は米澤が受注しているモーター部品を製造する」と、カネミツの金光俊明社長。今後は3カ所目の工場建設を計画中のタイなど海外での生産や、自動車以外のモーター市場への参入も視野に入れる。同社は金型を内製しているため低コストで生産できるほか、プーリーで大手自動車・部品メーカーと取引があり、こうした利点を活用する。
プーリーは10年前までは売上高の9割を占めたが、2023年3月期は47%とトランスミッションや電動車(xEV)用の部品など他の製品が初めてプーリーを上回った。ただ、プーリー事業から撤退する企業もあるとみられ、残存者利益を狙うほか、国内外でプーリーを使う車も一定の比率で残るとみて、三木工場に集約して生産を続ける。
金光社長は「これまでの事業の延長では将来はなく、自動車の電動化という新しい世界に挑戦する。M&A(合併・買収)なども活用してEV用の製品を伸ばしていきたい」と話した。